独占連載コラム/嶋田智之の『人生はペペロンチーノ』【Vol.6】

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Vol.6 やばいこれちょっと気になるじゃんまいったな……

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何ぃ? 「ローマ・ラリー・レポート、いきなりの番外編 その2」はどうした? たいして面白くもないのにアップされるの待っててやったんだぞ! と眉をひそめたそこのお代官様、どうか聞いてくだせえ! ……いや、違うんですよ……違わないけど。実は10月14日土曜日の朝7時頃に目が醒めて起き上がってケトルに湯を沸かしながら歯を磨いて顔を洗って着替えてからコーヒー淹れて机の前に座ってスリープ状態の Macbook Air を叩き起こして今日こそ書くぞ番外編その2……と思ってはいたんです。いたんですけど、前の原稿のシメってどんな感じだったか忘れちゃってたから iPhone で『カエルナラ イタリア』のアプリを叩き起こしてチェックしようとしたら出来心でついついスクロールなんぞしちゃったら出てきちゃったんですよぉコレが。出てきちゃったんです。だからあっしが悪いわけじゃないんでして……。

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そう、出てきちゃったのである。コレ。いやいや、87万円の絶妙な色したスパイダー・シリーズ3も160万円のアバルト500レフティ5MTも気になるけど、そうじゃなくて……。

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フィアット500の1.2ポップ。67万円なり。

手に入れてから結局は色々といじりたくなっちゃうのが目に見えてるから、ホントはもう少し安い方がありがたいのだけど、この金額なら現実的だし、何せ4万キロも走ってないという走行距離の少なさを考えると、むしろ割安かなーって思えてくる。2011年式という、低価格チンクにしては新しめの年式っていうのもいい。車検も10ヶ月残ってるし。これ、条件として、なかなか良さそうなのだよねぇ……。

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左のヘッドランプの上に “Roma” って入ってて睫毛ちゃんみたいだったり、リア周りにもコロッセオの前を走り去るチンクのイラストとともに“Roma”の文字が入ってたり……っていうのは、確かマイナーチェンジ前のチンクにオプションとして用意されてたデカールで、さらには “CHILD IN CAR”のステッカーも貼られてる。それでこの色ってことは、普段はママが御近所のアシに使ってたファミリー用のセカンドカーだったのかな? なんて想像ができちゃったりする。であれば、そんなに手荒く扱われたりはしてないだろうな、という推測も成立しちゃうわけで。

まぁ人相がそれほどいいとはお世辞にもいえないという自覚があるオヤジが乗るにはファンシーに過ぎる感じだし、ハッピー・オーラが強すぎて自分が負けちゃう気もしないでもないから、そこは手を入れるなり何なり後で考えるとして……。

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エンジンが 1.2 FIRE でグレードが “ポップ” っていうのが、望んでいたところだからね。なぜなら、僅かばかりの豪華装備なんていらなくて簡素な方が小さいクルマに関しては好みだし、こういうそこに収まってるだけで気持ちがどことなく明るくなってきそうなインテリアって魅力的だからね……根が暗いもので。

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特にシートのこういう感じが、またいいのだよねー。ラウンジも色合いが落ち着いてて悪くはないんだけど、落ち着けるインテリアのクルマなら手元に1台あるしね。内装まるごと赤基調! っていうのに、ちょっと惹かれちゃう。

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このダッシュボードの裂け目。チンクの場合、エアバッグの出口のところが浮いて裂けてくることがあるって聞いたことはあるけど、それだよねきっと。こういうのを補修してくれるところはあるし、知り合いのところでも内装のリペアとかやってるから、ちょっと補修料金とかを訊ねてみないとね。まぁ……知らないヒトにとってみればものすごーい傷跡のように感じられるかも知れないけど、ポンコツ車歴の長いスレた男なので、僕はちっとも驚かない。そう大した問題じゃないってことも解ってる。

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もうひとつ「これは良いかも……」と思ったのは、これがディーラーの下取り車だってこと。個人売買の場合には前のオーナーの知識量や経験則の結果がそのチューコ車なわけで、クルマを拝見しても見えないところは見えてこない。でも、ディーラーの場合は名前を掲げて商売をやってるわけだから、大抵の場合はテスターにかけたり何なりとチェックをしてダメなところはある程度以上は把握してるし、場合によっては手も入れてたりもするし。だから一定水準を大きく下回るクルマはまずないといえる。このクルマもボディのペイントに難があったみたいだけど、補修がなされてる様子。あくまでも写真を観る限りではあるけれど、そこそこ綺麗な状態っぽい。

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ただ問題が少々あるのだよねー。いや、クルマにというより僕自身に。前にもこのコラムで触れてるけど、ホントはソリッドな地味色の方が好みなのだ……このブルーは綺麗な色だけど高級感あり過ぎて今の気分にあんまり合ってないしラウンジだから見送ってるのだけど。

そう、赤っていうのがちょっとなー、なのだ。いや、赤という色そのものは嫌いじゃないし、イタ車には似合うってこともチンクにものすごーくマッチしてるってこともハッキリと認識してるのだけど……にっ……似合わないのだ。たぶん。間違いなく今の自分には。

とっても個人的な感覚なのだけど、40代の真ん中を過ぎた辺りから60代の頭ぐらいまでの年頃の男には──もちろん人にもよるのだけど──赤い色した小さなクルマは今イチ似合ってくれないように感じてるのだ。そして逆に60代になると、またしても急激に似合うようになっていく。……うーむ、でも60代になるまで、まだしばらく時間あるしなー。そもそも自分で “似合わない” と感じてる以上、絶対に似合ってくれたりはしない。服でも何でも全てそうだ。僕が赤いチンクエチェントを転がしてたら、知らない人が見たら奥さんか彼女のクルマを借りて乗ってるオッサン、みたいに思われるに違いない。ここ15年ほどは独身だし、“ぼっち” for some time past! だっちゅーに。

いや、待てよ……。そうか、その手があるか。真っ赤なチンクを「これ彼女のクルマなんだけどね」仕様にドレスアップして乗る、っていうのはいいアイデアかも知れない。やり過ぎない程度にセンスよく “おとなカワイイ” 感じに仕立てて、どっかで買ってきたクルマ用の一輪挿しに季節ごとのアーティフィシャルフラワーなんぞをちょちょっと刺して、「まいっちゃったなぁ。このクルマ転がすのちょっとテレ臭いんだよね」みたいな顔して乗って回るわけだ。

……ん? だけどそれってどんな顔なんだ? というより、そういうセンスがお前にあるのか? っていうか何ひとつモノゴトの本質的な解決にはなってないんじゃないか? それより何より思いっきり空しくないか? ……え? あ……まぁ……そう……だよなぁ……しょぼーん。

……とまぁこんなふうに盛り上がったり盛り下がったりを繰り返してるわけでして、「ローマ・ラリー・レポート、いきなりの番外編 その2」の原稿を書いたりしてる場合じゃないんでございますよ、お代官様。そうでげす、ぜんぶ赤いフィアット500が悪いんでございます。ホントに罪作りなヤツでして……。

それにしても……気になるなぁ。どうしよう……。まいったなぁ……。

 

嶋田智之(しまだ ともゆき)prof
1964年生まれ。クルマ好きがクルマを楽しみ尽くすためのバイブル的自動車雑誌として知られる『Tipo』の編集長を長く務めて不動の地位を確立し、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントなどではトークショーのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

INDEX
Vol.1 連載初回にしてまさかの”ここでクルマ買うぞ!”宣言!?
Vol.2 気分は”地味色イタリアン”
Vol.3 「パワーいらね!」と血迷ってみる 前篇
Vol.4 「パワーいらね!」と血迷ってみる 後篇
Vol.5 ローマ・ラリー・レポート、いきなりの番外編 その1
Vol.6 やばいこれちょっと気になるじゃんまいったな……

 

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