独占連載コラム/嶋田智之の『人生はペペロンチーノ』【Vol.1】

news, newsita

main

Vol.1
連載初回にしてまさかの”ここでクルマ買うぞ!”宣言!?

初めて走らせたイタリア車って何だったっけ……? ちょうど30年ぐらい前、“カー・マガジン”の編集部でコゾー扱いされながら下積みをしてたときで、ターボのついてないフツーのフィアット・ウーノだったか、やっぱりターボのついてないフツーのアウトビアンキY10だったか、どっちかだったと思う。いや、同じ日に2台とも走らせたのだったかも知れない。いずれにしても先輩が作るページの手伝いで、まぁクルマの運搬を仰せつかっただけだった。

が、これが物凄く衝撃的な体験だったのだ。

と書ければドラマチックでいいのだけど、当時の僕は21とか22とかのコゾー。ありがちだけどスピードに対する欲求が強かったから、小さな実用車はそういう意味では圏外。感動的な体験というわけじゃなかった。

でも、ちっとも速くなんかないくせにエンジンはやたらブンブンと気持ちよく回ったし、コーナーでは車体が大きく傾くのに信じられないくらいの粘り腰で元気よく曲がっていく。そんなところにはちょっとばかり好感が持てた。へぇー、こんなのもあるんだな、と感じたものだった。

その数年後に“ティーポ”という雑誌の創刊スタッフとなり、好きなように雑誌を作らせてもらいながら(たぶんちょっとは)成長し、20年の在籍期間の後半10年ほどを編集長として楽しませてもらい、今ではフリーランスの自動車ライターとして6年目。その比較的早い段階のどこかで、僕は少しずつ間違いに気づいたのだったと思う。“こんなのもあるんだな”じゃなくて、イタ車に関していうなら“こんなのばっか”なのだということに。チープな実用車から驚愕のスーパーカーまで、理屈では説明しにくい得体の知れない類の楽しさや気持ちよさを、イタリア生まれのクルマ達は常に感じさせてくれるのだ。

「クルマはスペックだけじゃ解らない」だとか「大切なのは“スピード”じゃなくて“スピード感”」だとか「絶対性能よりも感覚性能」だとか、僕はときどきそんなようなことを原稿に書くことがあるけれど、思えばあれがそうした考え方を芽生えさせた原体験だったのかも知れない。

そういうわけで、僕はイタ車が好きだ。もちろん英国車もフランス車もアメリカンも日本車も好きだけど、「クルマ欲しいなー」と罪のない空想を繰り広げるたびに、まずイタリア車カテゴリーの中から探り始めている自分に気づいて思わず笑う、なんていうのはいつものことだったりする。

そして今年は空想だけで終わらせないようにしよう、とも考えてる。せっかくここでコラムを月イチ連載させていただく機会を得たわけだし、そもそもこのお話をいただく以前から僕はこの『カエルナラ イタリア』を応援していて、もっと活性化していくといいな、と考えてたのだ。だって、そしたらそれこそイタ車好きにとってのパラダイスでしょ? 手元にあるくたびれたアルファロメオを手放す気にはなれないのだけど、短期集中型2台持ちになっちゃうかも知れない覚悟はできてるから、いい出物があったらパクッ! と食いつくつもりでいる。

だから皆さん、どんどん出品して楽しませてくださいねー。

 

嶋田智之(しまだ ともゆき)
prof
1964年生まれ。クルマ好きがクルマを楽しみ尽くすためのバイブル的自動車雑誌として知られる『Tipo』の編集長を長く務めて不動の地位を確立し、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントなどではトークショーのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

カエルナラトップページに戻る